そこは見たことのない場所だった。

頭が痛む。

話によるとあの時けいこにぶん殴られたらしい。

ホテルの玄関口にある、鉄製の靴べらだとか。

もえはもうよかった。

どうでもよかった。

何もしたくない。

何も考えたくない

ただ、闇雲に時だけが流れて行った。

頭の中の何もない無の境地。

ただ呼吸をし、食事をし、排泄する。

そんな生活だった。

目に映るもの全てが悲しみと憎しみの塊のように目に映る。

目はうつろいでいて、少々危ない人に見える。

そんな生き方をしていた。