5月の夜はまだちょっと寒い。


でも、酔ってるからか、ドキドキしてるからか、気持ちよかった。


「あ!そこの茶色いマンションっ」


「おぉ、もう着いた?」


自転車を止める。


ピョンとジャンプし、自転車を降りた時、バランスを崩した。


「わっ」

「あぶないっ」


ふわっと体が浮いて


ノリの片手で抱きしめられた。




・・・・・・・



「あっぶねーな、気をつけろよ」


呆れたような声が耳の側で聞こえる。


ダメだ・・・ドキドキする・・・



「あ、あのっ・・・」


赤い顔をして焦る私をみて


「あ、ごめんっ」


ぱっと私の体を離すノリ


「あ、ありがと・・・・」


「いや・・・・」




少しの沈黙・・・



あかん、こんなんじゃ、気持ちすぐバレる・・・



「じゃ、俺、帰る。」


そう言って自転車を降りる



「えっ?なんでっ?」


思わず心の声が漏れる。


当たり前やん、送ってもらうんが目的やん・・・


目を丸くして私を見るノリ


「・・・・・・え?」


どうしよ・・・

でも、もうちょっと一緒におりたい・・・


家に上がってって言う?


そんなん、初対面でおかしい?


でも・・・・・・

お茶だけって、せっかく送ってもらってんし・・・・


「結衣?」


「あ、あの・・・・・・・・お茶、入れるから上がってって?」


語尾が小さくなる。

きっと顔真っ赤や。