氷の会長




「詩或」

「…………あんたは違うの?」

「ん?」

「周りの人や恭みたいに…………私自身を見てくれるの?」




こんなにも弱々しい詩或を見るのは初めてだ


ぎゅっと抱き締めると初めて抱き締め返してくれた






「アメリカ留学中にモデルに誘われて小遣い稼ぎに始めた。
だんだんモデルが楽しくてアメリカでトップになることが夢だった」


「うん」


「そんな時恭とアメリカで出会った。
恭はモデルの勉強のためにアメリカに来ていて

お互い新人のモデルだったから意気投合して

私は恭に恋して

全てが楽しかった」





その後に恭先輩に裏切られた

そういうことだったんだ





「モデルの仕事は恭に横取りされて

私は売れなくなった。


それから日本に戻っても恭が怖くてモデルの活動はしてない」


「そうか」

「だから私は恋愛はしない。

モデルもしない」






全て恭先輩が元凶





あいつが今も詩或を狙っていると考えると怒りでどうにかなりそう




「あんたは少し信じてもいい」

「え…………」

「何?信じない方がいい?」

「いや!!信じて!!信じていい!!」

「うん」






詩或はいつも強くて凛として
誰もが頼りにする生徒会長



だけど本当は


弱くて
泣くことすら出来ない不器用な


ただの女の子なんだ