「詩或」
「今度は何?」
「少し話をしよう」
「は?」
今日の仕事はこれで終わり
だから詩或の過去を聞こう
「叶瑠さん、詩或をお借りします」
「…………車乗れよ。送ってあげる」
「ありがとうございます」
叶瑠さんは分かっているんだ
俺が詩或のことを聞くこと
叶瑠さんの車に乗り込み俺の家まで送ってくれた
「随分いいところ」
「そうか?」
マンションの最上階に1人暮らし
両親はオーストラリアとオランダ
俺が幼い頃からいるから俺がモデルをしているなんて知らない
親は俺のことどうでもいいからな
俺もあの人達を親だと思ったことはない
だから特に気にしていない
「適当に座って」
「…………」
「紅茶でいい?」
「手伝う」
「紅茶淹れるだけだから」



