氷の会長





「顔出したら本当に怒るから」

「そこは分かってる」

「…………帰る」





とりあえず会長の顔は出ないようだ


出たら大変なことになりそうだしな






「会長、送る」




俺も仕事終わりだし結構遅い時間だし会長だって一応女だし



家まで送ろうと思った





「いい」




ばっさり断られた




「あんたもう少し自分がモデルなこと考えなさい」

「は?」





会長の台詞に理解出来ず結局会長がスタジオを出ていく後ろ姿を見ていた





「架也大切にされてるな」

「え!?」




突然俺の背後から叶瑠さん





「今の会長の台詞ですか?」

「うん。架也は芸能人だろ?一応女と歩いていたら、すぐスキャンダルのネタにされる。だからしぃは架也の優しさにも断ったんだ」





なるほど




つまり俺のことを思っての断りだったのか





ほんと会長ってよく周りを見て考えてるよな






「あ、だからってしぃが架也のこと好きとかじゃないからな!!」

「そこは重々理解してます」





あの会長だ




きっと恋愛なんてしたことないだろう



これからも







そう自分で思ったにも関わらず心臓がチクッと痛んだことに気が付かないフリをした