氷の会長




「架也っ…………か、やぁ」

「何?」

「一緒に暮らす」

「うん」





母さんは泣きながら言ったんだ



ごめんねって









詩或が居なければきっとこの人とも向き合うことは無かった



「母さん…………俺、いい人と出会えたんだ」

「あの子?」

「うん………………本当に結婚するつもりだから、陰険な嫁姑バトルとかしないでね」

「そんなことしないもん。堂々と喧嘩する」





常識なんてない

話なんて通じない

一生分かり合えない




そう決め付けていた






「また連絡するから」




1度電話を切った


編集部を出ると世瑠さんと詩或が待ってくれていた





「どうだった?」

「あ、恭が止めてくれた」

「そう」

「詩或…………」

「ん?」

「母さんと話するんだ。それと一緒に暮らす」

「ん…………」

「詩或のおかげ」

「感謝しな」

「うん。ありがとう。結婚しよう」





全部詩或と出会えたから

変わったんだ