「詩或」

「何」

「呼んだだけ」





詩或が傍にいる


その幸せを噛みしめ俺は毎日のように初瀬家に学校帰りに寄っていた



「あ…………そういえば、今日お客が来た」

「客?」

「昴架也はいますかって…………あんたに会いに来たようだけど」

「誰だろ…………まぁ、ファンの子だろ」







詩或も俺もその訪ねてきた客のことなんて気にも留めていなかった





「架也~夕食の準備手伝って」

「はい。今日は何ですか」

「ポトフとボンゴレパスタ」





いつもの様に夕食の準備をする叶瑠さんと一依さんの手伝いをして


夕食を食べて自宅に帰る



今日もそのつもりだった






「今日学校で架也のこと探してる女と会ったよ」

「え?」




一瑠の言葉に双瑠が



「俺も出会った。架也って年上にも手、出してるの?」



付け加えた



「いや……年上にもって何だよ。俺は詩或にしか手は出しません 」

「叶瑠聞いた?架也がしぃに手を出そうとしてる」

「な!?双瑠てめぇ!!」

「いい度胸だね。架也」

「叶瑠さん?その包丁どうするんすか」

「え?聞きたい?」

「いや…………いいっす」






双瑠に売られた俺を詩或は何も言わず蔑む

助けてくれたっていいのに