「えっー…」


私が驚いて顔を上げると、“青山、青山高校前”とバスのおじさんの声がバス中に響き渡った。


ガラス越しに覗いてみると、そこは確かにまだ設立して間もない、真新しい校舎が堂々と建っている、青山高校前だった。


男の子はすくっと席から立ち上がり、「知ってた?」って小さく呟いた。


扉がプシューと音をたてて開く。


「怒ったり笑ったり、感情がコロコロ変わると、意外と疲れるんだって。だから、甘いものがいいらしいよ」


男の子はもう一度優しく微笑むと、バスから降りていった。