スポーツ万能の光には劣るけど、一応100mは10秒台後半で走れる足を動かしまくり、誰もいない廊下の隅っこで立ち止まった。


かなり全力で走って来たから、息が切れて額から汗が滲む。


そのオデコの下にある目からは、図書室からずっと涙が溢れ続けていた。


「ふぇっ……!冴城君………っ」


ボロボロ零れる涙を拭っていると頭に浮かぶのは、入れ替わりを始めてから何度も見た冴城君の笑顔。


明るく弾ける様な笑顔に、穏やかな微笑み。睦杜ちゃんと岩本君のラブラブっプリに呆れて引きつった笑顔まで、色んなパターンが浮かんでは消える。