大きな黒いピアノに寄りかかって窓の外を見ていた岩本君が、スッと片手を上げて一歩私の方へ。


「別にいいけど、一体どうしたの?睦杜の誕生日サプライズの相談…ってワケでは無いだろうし」


睦杜ちゃんの誕生日は3月5日で、まだまだ全然先の事。


っつー事で、岩本君が私に話したい事と言うのは、少なくとも睦杜ちゃんのバースデー関連の事では無い。


一体私はこれから岩本君に何を言われるのか本気で分からないでいると、彼は唐突に真っ直ぐ突き刺さる様な眼差しを私に向けた。




「ハッキリ言うけどさ………お前、誰?」




「……え?」