「田薮ーー、出来たかーーー?」


「うっ、ああ、うん……」


「どれ見してみ?」


今までカリカリと色んな数式を書いていたノートを、ヒョイッと奪われる。


冴城君の目がノートを左から右へ、また左から右へ眺め回しているのを、私は黙って見つめていた。


「うーーん、田薮、問1と問3は合ってるけど、問2と問4が違うな」


「そ、そう………」


「まぁ軽いミスで大体合ってるし、これだったらパパッと説明したら多分理解出来ると思うぜ」


“なっ!”と明るく笑う冴城君の笑顔は、国語の授業の後の時と似た様なキレイな笑顔。