「じゃあ菜緒ちゃん、お邪魔しました~」
「ううん、また来てね~。児玉くん、沙菜をよろしく」
「うん。お邪魔しました」
「美波ちゃんと田神くんもまたね」
「うん、またメールするね」
「気を付けてね。樹、ちゃんと送れよ」
「わかってる」
玄関で私と児玉くんの二人は、菜緒ちゃん達にあいさつをする。
私が菜緒ちゃんの家から帰るのに、電車の時間がきてしまうため、先に帰ろうとしたところ、児玉くんが送っていくと言い出しお断りしたのだが、押し問答の末送ってもらうことになった。
押し問答と言っても、私一人対みんなという感じだったのだが。
「ほんとにごめんね、児玉くん」
エレベーターのボタンを押す児玉くんに言うと、
「何で謝るの?俺が送りたいからなんだからさ」
微かに笑みを浮かべながらそう言ってくれた。
菜緒ちゃんの家がある階は10階。
一階にあるエレベーターが上がってくるのを待つ。
私がその数字を見つめていると、
「……それに、会うの久しぶりだし、もう少し俺が一緒にいたいだけなんだけど」
と言って、急に手を繋いできた。
「!?」
まさかの行動に、菜緒ちゃん達に見られてないか気になって、菜緒ちゃんの家の方を振り返ってしまう。
「大丈夫、見られてないかちゃんと確認したよ」
不適に笑う児玉くんの顔は何だかちょっと意地悪に見えた。
