「うわ、何それ。菜緒ちゃん、カンジわるっ!」

私がぶーたれても、菜緒ちゃんのニヤニヤ顔はそのままだった。

「ま、そのうちわかるでしょ」

「そうそう。自然とね。もしくは児玉くんが教えてくれるって」

と、二人で嬉しそうに話している。

もうほっとけ、と思ってスマホをいじり出す私。





しばらくすると、菜緒ちゃんの家のチャイムがなった。

「あ、来たかも」

菜緒ちゃんが立ち上がり、インターホンを確認すると、

「ちょっと待ってて~」

と言って、玄関へ向かっていった。

「お客さんかな?」

「ね。てか沙菜、ほんとに両想いになってよかったね」

美波ちゃんが優しい顔つきでそう言ってくれた。

「うん…。何か、あまり実感わかないけど」

「でも、あれから会ってなくても、メールとかはしてるんでしょ?」

「うん」

「毎日?」

「うん。とりあえず」

「前とは違うんじゃない?正式に付き合ってるなら」

何だか質問攻めしてくる。

「でも、そんな大した話をしてるわけじゃないし…」

「その大した用事がなくても連絡取り合えるのが、付き合ってるからこそじゃないの?」

確かに。言われてみればそうなのかもしれない。

「付き合うってよくわかんないけど、彼女のふりをしてた頃よりは、理由を探さなくてよくなったからいいかな…」

「そのうち、毎日連絡とれないと不安になったり、会いたいって思ってたまらなくなることもあるって」

「そうなのかなぁ……」



と、話していると。

「お待たせ~」

と菜緒ちゃんが部屋に帰ってきた。

「おかえり……ってあれ!?」

「沙菜ちゃん、美波ちゃん、ヤッホー」

菜緒ちゃんの後ろから現れたのは田神くんで。

さらにその後ろには、

「児玉くん!」

「……どうも…」

児玉くんもいた。