そして、先程の会話に戻る。

「レギンスなんて履いたら、沙菜、暴れるでしょ!ちょっとはおしとやかにしといたくらいがデートにはちょうどいいよ」

「そんなぁ……」

スカートの裾を引きながら、菜緒ちゃんを見つめる。

「それとも、こっちにする?」

と、菜緒ちゃんの手にあるのは、胸元が開き気味の、パフスリーブのかわいらしいワンピース。

胸の下辺りをぐるりと黒のリボンでしぼってあり、裾はレースがフリフリ。

胸の大きさ……いや、私の貧乳さを強調する仕様になっている。


「むっ、無理無理無理無理!!」

「でしょ?」

「沙菜、今来てる方が生地が厚いし、裾が捲れにくいと思うよ」

美波ちゃんがフォローらしきものをいれてくれる。


今着ているのは、カーキのシャツワンピだが、襟元にキラキラのビジューが着いており、少し低めの位置からスカートに切り替わっていて、プリーツになっている。

色や生地の感じからすると甘過ぎない。

確かにこれなら、裾は捲れにくいだろう。

難点は膝上5cmなところだが……。

あのフリフリを着るくらいならこれの方がいい。


「確かに、こっちの方がいいけど……」

私がポツリと言うと、

「よし、決定!」

そう言って、菜緒ちゃんが私が元々着ていた服を素早く拾って、店員さんに近付いていく。

「あっ、ちょ…!!」

私が止める間もなく。

「よくお似合いですね~」

店員さんはニコニコしている。