「デートなのにあり得ないでしょ!その服!」

「で、デートじゃないし!!」


デートというフレーズに、思わず動揺する。


「二人で待ち合わせて出かけるのをデートと言わずに何と言うのよ!」


菜緒ちゃんが私をガクガク揺さぶる。


「ちょっ、ちょ、菜緒ちゃん落ち着いて……」


美波ちゃんが菜緒ちゃんを止めてくれた。


「とにかく、沙菜、それはないわ!ちょっとおいで!」

と私の手を引いて、とあるショップの中に入っていった。




「何、何なの菜緒ちゃん!!」

引っ張りまわされ、その間も菜緒ちゃんはブツブツ言いながら、服を物色している。

「沙菜、こうなったら菜緒ちゃんの好きなようにさせといた方がいいよ…」

呆れた口調でいう美波ちゃんに諭され、仕方なく、大人しくしといた。


しばらくすると、

「沙菜、こっち」

と連れていかれたのは試着室。

「えぇ!?」

「試着!これ着てみて」

と、2着の服を渡される。

「これ!?」

「早く着てみて、2着しか試着室に持ち込めないし」

ほんとにこうなったら菜緒ちゃんはきかない。

諦めて試着してみることにしたのだった……。