―――え、あれ?私、変なこと言った!?


さっきは意地悪っぽくヤキモチかどうか聞いたくせに、今度はなぜか穏やかな表情だったから、思わず本音を言ってしまった。


だけど、児玉くんが固まるって……予想外の答えだったのかな。


―――迷惑、だったのかも……。


そう思うと何だか申し訳ない気持ちになってきて。


―――冗談だよ、って言った方がいいかな。


そんな考えがよぎって、

「冗…」
「それ、本当?」

言いかけた私の言葉はかきけされた。


「え?」


「ヤキモチって……各務さんが…?」


そんなふうに聞いてくる児玉くんから目が離せなくて。


あまりにも真剣な顔に、


「うん……本当……」


と正直に答えるはめになった。




すると。





「……ヤバい……」


そう呟いた児玉くんは、私との距離を詰めてきて。


すいてるわけではないけど、満員というほどはない列車の中で、必要以上に近い距離に児玉くんの顔があった。



そして、耳元に顔が近付いたと思うと。




「そんなこと言われたら、俺、自意識過剰になるよ?」


なぜか凄く……なんと言っていいのか、低いというか、色気があるというか、そんな感じで囁かれ、ゾクリ、とした何かが背中を走った。