少し早足で図書室に向かって。


―――図書室にいなかったら、どうしよう。



勢いついた今のうちに謝りたい!という思いにかられてしまい、少しドキドキする。


自己満足でしかないかもしれないけど。

それでも、やっぱり話したくて。


図書室に着いて、中を覗きこむ。

カウンターには司書の先生しかいなくて。


「あら?各務さん、どうしたの?」

優しい表情で話しかけてきてくれる。


「あ、あの、児玉くんいませんか?」

そう尋ねると、

「児玉くんならさっきまでいたけど、ついさっき帰ったよ。すれ違わなかった?」

帰った………。

「そうですか……すれ違わなかったです……」

勢いついてたぶん、落胆してしまった。



でも。



今追いかけたら間に合うかもしれない。


「追いかけてみます、ありがとうございました!」

お礼を言ってから図書室を急いで出た。



―――走れば、間に合うかな。


廊下は走っちゃいけません。

自分でそんなつっこみを入れる。


そして階段をかけ降りた。


まだ学校にいたら困るから、念のため靴箱を確認すると、靴があった。



「まだ、学校にいる……」

少し息を切らして、そこに立ち尽くす。


―――探しに行ってみようか。

けど……それでまたすれ違ったら?



そんなふうに考えて、靴箱にもたれかかると。


「各務さん?」


探していた人の、声が聞こえた。