様子を見に来てくれた二人にお礼を言って、ベッドから降りると、

「はい、カバン」

と菜緒ちゃんが渡してくる。

「カバンまで持ってきてくれたんだ、ありがとう」

「うん。あと、うちら、今から部活のミーティングあるけど…沙菜大丈夫?」

「まだ頭痛いなら誰かと帰った方がよくない?」

そう心配してくれたが、

「ううん、薬も効いたし、寝たから大丈夫。ホントにありがとう」

ベッドを綺麗にしてから保健室を出た。

二人と別れてから鍵を閉めてもらうために職員室に向かう。

お礼を言ってから職員室を出る。


靴箱に向かいながら、ふと、児玉くんのことを思い出した。


―――さすがに、帰ったよね?


そう思って靴箱で児玉くんのところを見ると。


「靴、まだある……」


室内用の靴ではなく、まだ革靴が入っていた。


「……………」


ちょっと考えて。


―――このタイミング逃したら、また夏休み中、もやもやするかも……。


メールとか、電話するとかもあるけど、やっぱり直接会って話したい。


そう思って、教室に戻ることにした。