ニセモノ×初恋=??

「…………何がそんなに不安なの?」

「えっ?」

思わず私が呟いた言葉に、二階堂さんが驚いたような顔をした。


「……二階堂さんが私相手に、何の不安を感じる要素があるの?」

「え?」

「だって、二階堂さん、婚約者なんでしょ?私なんか本当に付き合ってたわけじゃないし、ぜんぜん立場が違うと思うんだけど」

「でも……各務さんとはだいぶ仲良かったみたいですし…」

二階堂さんの顔はまだ固いままだ。

「それはクラスメートだからだよ」

「………」

「私と二階堂さん比べても、私が勝てる要素なんて、同じクラスって事と、腕っぷしくらいだと思うけど」

「………」

「可愛さなんてぜんぜん比べられるレベルじゃないし、女の子らしさも二階堂さんと私じゃ違うよ。そんな人が恋人で婚約者なら、何を不安になるのか、私にはさっぱり理解できないんだけど」



私の話をじっと聞き入りつつ、なぜか二階堂さんは目をそらした。

「私が言うのも変だけど、婚約者なら不安になる必要ないって。ただ、私が変な立場になったから、余計な心配させたんですよね、ごめんなさい」

謝ってから頭を下げると、

「………各務さんが謝ることじゃないです…」

消え入りそうな声で言って、また黙ってしまった。


「……ごめんだけど、列車の時間があるから帰りますね」

そう言って私が立ち上がると、


「……あっ……」

何か言いたげだったけど、冷たいとわかりつつ、気付かないふりをしてその場を立ち去った。