ひとしきり泣いたあと、涙と鼻水をハンカチで押さえ、

「田神くん、ごめんねホント…」

慰めてくれる田神くんに謝る。

ぐちゃぐちゃになってる私のそばにいてくれて、今まで付き合ってくれて、正直助かった。


次の電車が来たから、また二人で乗り込んだ。


その電車の中で田神くんをチラリと見ると、田神くんは優しい顔で笑って、

「謝らないでいいよ」

と言ってくれた。


この人はこんなにも人に対して優しくて。

女の子の扱いかウマイのは、それだけまわりに気を配れるからなんだろうと感じた。


人前で泣いたなんて、何年ぶりかわからない。

甘えさせてもらうたのが、こんなにありがたいものとは思わなかった。


何となく気恥ずかしいのもあったが、誤魔化すかのように世間話をしながら帰った。



「じゃあ、またね」

田神くんが降りる駅に着いた。

「うん、ありがとう」

「何かあったらメールとかしてきてもいいからね」

降りる直前なのに更に声をかけてくれる。

「ありがと」

お礼を言うと一度頭をぽん、として。



「けど正直、沙菜ちゃんが樹のこと、本気で好きでいてくれてるってわかって安心したよ。あいつともっと話してみてよ。ちゃんと受け止めてくれるやつだから」



と、思いがけないことを言って、去っていった。