「…っ…くっ……うぅ……」

堪えようとしても誤魔化せなかった。

「……ずるいよ、そんな言われたら堪えられなくなるじゃん……」

「うん」

「……自分がこんなに女々しいなんて……知りたくなかった……」

「そっか……」

田神くんは片手は私の手を捕まえたまま。

もう片方の手で、頭をぽんぽん、としてくれる。

それがまた、児玉くんがしてくれたことを思い出させる。


「うーっ…………」



あの優しさも。


あのドキドキも、


ニセモノの関係だったけど、確かに感じたものだったのに。


だけと、ニセモノの関係だから、児玉くんを責める権利は何一つ私にはなくて。


心の中で勝手に自分は特別なつもりでいたんだろう。


そんな自分勝手な自分が嫌になる。


そのくせ、自分が被害者みたいに泣いたりして。


「あー……、自己嫌悪……」