――――児玉くんの、児玉くんのどあほー!!
心の中で叫んで、靴を履き替えてからさらにダッシュした。
あまりの全力疾走に、まわりの子達が不思議そうな目で見ているが、そんなの気にしてられなかった。
駅に向かって走って、その間もやっぱりあの二人の事を考えてしまって。
やがて、駅に着く前に止まってしまう。
―――似合いすぎたよ、あの二人。
あの光景が目に焼き付いて。
二階堂さんから聞いたいろんな話が私のなかをグルグルまわった。
でも。
児玉くんの優しい言動や、一緒にいて心地よかったことも思い出して。
また、目の前が滲み出す。
「……くっそぅ……」
―――本気の恋愛がしたいって何だよ!二階堂さんがいるくせに!
悔しくて滲む視界を必死で通常に戻そうと我慢する。
と、そこへ。
「あれ?沙菜ちゃんひとり?」
という田神くんの声が聞こえて。
他の友達と一緒にいる田神くんが声をかけてきた。
「あ、うん…」
何だか、顔を見られたくなくて目をそらす。
そんな私の様子がおかしいと思ったのか、
「…なんかあった?」
と顔を覗きこんでくる。
「いや、何も。じゃあ」
ぐちゃぐちゃになってる気持ちを悟られたくなくて、手短にすまそうとその場を立ち去ろうとしたが、
「何もって顔じゃないよ。どうしたの?樹とケンカでもした?」
食い下がってくる。
しかも児玉くんの名前まで出てきたから、
「なんでもないってば。じゃあ、帰るね」
とさらに早口でその場から走り去ろうとした。
けど。
「沙菜ちゃん、一緒に帰ろう?」
と、手を掴まれてしまった。
他の友達がいるからと断ったが。
いろんなやり取りの末、結局田神くんと帰るはめになったのだった。
