「そうだったんですね…」
私が事情を説明すると、どこかほっとしたような表情をした。
そしてやはり涙ぐんでいて。
その顔を見て、正直に話したことは良いことだったんだと思うようにした。
そうでもないと、自分の感情がついていかなかった。
けど。
「ごめんなさい」
「え?」
なぜか二階堂さんが謝ってきた。
「なんで二階堂さんが謝るの…?」
感情的になったことでも謝ってくれるのだろうか。
だがそうではなく。
二階堂さんの口から出た言葉は、
「樹、私のために偽の彼女なんて作ったんですね」
であった。
「………?」
その意味が分からなくて頭をかしげていると、
「きっと樹、今までも女子にすごくモテてたんです。樹に告白したりした子はバレると嫌がらせを受けていた子も多くて。だから、私が婚約者なんて周りに知られたらどんな危害が及ぶか分からないから、偽の彼女なんてカムフラージュを使うことにしたんだと思います」
「はぁ…」
二階堂さんの言葉に、私は気の抜けた返事をしてしまった。
「同級生に聞いたら、各務さんは友達も多くて、格闘技もしてたから強いって言ってました。だから、各務さんなら大丈夫だと思ったんでしょうね」
「………」
あまりの言い分に言葉が出なかった。
二階堂さんが言っていることが、本当に児玉くんに言われているように感じてしまって。
確かに、最初の頃に私もその心配を口にしたところ、児玉くんから「各務さんは友達が多いから大丈夫」みたいなことを言われた。
児玉くんも、本当にそんなことを思っていたのだろうか。
そう思って、二階堂さんを守るため、田神くんからのアドバイスもあったから、ニセモノの彼女を私に頼んだのだろうか。
いやな考えばかりが頭に浮かんでは消える。
だとしたら……あんまりだ。
