ニセモノ×初恋=??

今度は体ごと抱え込まれてしまう。

まるで、楽器保管室のときと同じように。


「あ……」


それをふと思い出してしまい、息を飲んだ。


―――近い、また近すぎる、この距離!


この距離で見られると、動揺する心を見透かされてそうで。


ニセモノの彼女のくせにこんなことをされると、児玉くんのことを意識してしまっているのがバレるのが怖かった。


―――ふっ、普通に引っ付かずにいてくれたら大丈夫なのに!!


そう思って児玉くんを見てみると、自然と恨みがましい目になってしまったようだ。


「…ちょっとは、俺を男だと意識してくれる?」

何だか少しだけ、意地悪な口調。

「十分、意識してるから。女だとは思ってないってば」

つい、そんなふうに言ってしまう。

「そうじゃなくて。ちゃんと、彼氏としての男として意識してよ」

「……あぅ……」

反則的な表情で、私を見ている。

―――もう、限界。

「……もう、やだ」

「各務さん?」

私のやだ発言に、児玉くんの顔が少し焦ったようになる。

「俺とこうするの、嫌?」

不安げな表情。

「そうじゃなくて。……こんなことされたら、変な風に意識してしまうの、当たり前だよ…」


私がそう言うと。

安心したようにふわりと笑う。

「意識してくれてるんだ」

何だか凄く嬉しそうで。

「…何か、女子扱いされてるみたいで、慣れてないから余計に、意識しちゃうよ……って、うわっ!!」

私が最後まで言い切るかくらいで、抱きしめられた。