ニセモノ×初恋=??

先に動いたのは児玉くんの方で。

「やば……」

そう言ったかと思うと。



児玉くんの右手が伸びてきた次の瞬間。



ぽすっ。



「!?」


私の頭を自分の胸に抱え込んだ。



とくん、とくん。


規則正しい、鼓動が聞こえる。


―――児玉くんの、心臓の音だ…。


人の鼓動を聞く機会なんてあまりないから、ちょっと感動して、聞き入ってしまう。



「各務さん?」

しばらく心臓の音を聞いていたら、児玉くんの声が頭上から聞こえた。

「何?」

「よかった、寝ちゃったのかと思ったよ」

クスクス、と笑いを含んだ口調で児玉くんは話す。



「あ、ごめん。児玉くんの心臓の音、聞いてた」

私が答えると、児玉くんの体が少しぴくっ、とした。

「………何で?」

「人の心臓の音聞くなんて初めてだなって、ちょっと感動して………」

「………なるほどね…」

納得した様子だ。



「そんなことを考えてるから、こんなことしても文句言わなかったんだ」


少し、楽しそうな、でも何だか少し、不機嫌そうな口調。


―――こんなこと?


そう思ったとき。


ぎゅう…と少しさっきより力を込めて包まれる。


―――………包まれる?


―――………………。


……………。




―――………あれ……?


「……児玉くん……」

「ん?」

「……何でいま、こんな状態?」

「こんな?」

「……うん……」

「どんな?」

「…密着、というか…」

「うん?」


わかってるだろうに、何だか児玉くんに誤魔化される。


「…ぎゅっとされてるというか……」

「うん」

「…………」

のらりくらりとしたやり取りに、私は言葉に詰まる。

そのせいか、

「いや?」

と児玉くんが聞いてきた。