そんななか、進路希望の紙を担任から配られ、休み時間に美波ちゃん達とその紙をにらめっこしていた。

「はぁ、進路かぁ…考えたくないなぁ」

紙をピラピラさせながら、菜緒ちゃんはふてくされている。

「もう今から考えとかないといけないんだよねぇ」

美波ちゃんも紙をまじまじと見ながら呟いた。

「あーあ。沙菜は進路決まってるからいいよね~」

前にも聞いたようなセリフを菜緒ちゃんから言われる。

「決まってるというか、そうしたいなと興味があるだけで、そこに必ず行けるわけじゃないから、それはそれで悩むんだよ~」

と反論してみたが、

「それでも目標があるっていいよね」

美波ちゃんまでが菜緒ちゃん寄りの意見だった。

「そんなもんなのかな?」

「そうだよ~」

二人は合わせたかのように頷く。

「私の場合は、たまたま、中学で職業体験に行った先で興味がもてるのを見れたからだよ」

「中学で行ったときにそんなこと考えもしなかったもん、私」

「そーそー。美波ちゃんもでしょ?わざわざ外部に見学に行くのめんどくさいから、早く終わらないかなとばかり考えてたよ。沙菜みたいな考えにはならなかったな」

二人がまだブツブツ言ってるのを横目に、書類をクリアファイルに挟んだ。