――――私、抱きしめられてる?


視界にうつる前に回された児玉くんの腕が、抱きしめられてることを証明していて。


首筋に感じる温かさが、そこから不思議な感覚を生み出す。



「児玉く…」
「ごめん、各務さん。いま、感情の制御がきかないから少し待って」



私の言葉を遮るように、児玉くんが言ってきた。




その声はさっき聞いた冷たいのと違い、優しいけど何だか何かを我慢してるような感じだった。



その声に押されて、おとなしく抱きしめられたままになる。




とくん。




今の状況が、そのまま落ち着いていられるかというと無理な話だ。