やがて、児玉くんが開けたドアは視聴覚室の楽器保管室だった。


―――え?え?何でここ??


あまり授業以外来ることがない部屋で、思わずキョロキョロしてしまう。

楽器は窓から射し込む夕日で、少しオレンジがかっていた。



「各務さん」



いつも見ない光景が綺麗で目を奪われていたので、児玉くんがすぐ真後ろに立っていたのに気付くのが遅れた。


「何…」


そう言いかけて振り返ろうとしたとき。


後ろから、手が回ってきたのと同時に体を包まれた。




「え……………」



気がつけば、後ろから児玉くんが包み込むように抱きしめてきていた。