「ちょっと待ってよ!」

後ろから北条さんの声が聞こえ、児玉くんは足を止めた。

「北条さん、俺の事を心配して怒ってくれてありがとう」

「児玉くん……」

児玉くんのセリフに嬉しそうな笑みを浮かべる。

だが。


「けど、各務さんを叩いたことは俺は許せない。俺らのことはほっといてくれる?」


冷たい、声だった。


その声に笑みを浮かべていた北条さんの顔が一瞬で悲しい顔にかわる。


「井ノ上」


児玉くんは井ノ上の方を見ると、


「この話はまた明日」




冷めた視線を送り、再び私の手をひいて教室をあとにした。