「君はどう思ってるのか知らないけど、俺は各務さんのこと、男女と思ったことないし、かわいいと思ってるよ」

「んなっ!?」

「じゃあ、行くとこあるから」

再度私の手をひいて、村口の返事は待たずに歩き始めた。

「あっ、おい!」

後ろから村口の声がしたが、ずんずんと無視して歩き続けると、村口も追いかけてくることもなく、姿は見えなくなった。



そして私は、さっきの児玉くんのセリフを聞いて照れたかというと。



ーーー児玉くんて、ニセモノの彼女の存在を確保するために、サラッと嘘を言えるんだ…。



と、妙に冷静になってしまっていた。

笑顔と言動がうさんくさいと感じてしまい、まともに話す前に勝手に描いていたクールというイメージは、完全に崩れ去ってしまった。


そして、さっき教室で動揺したのが嘘のように落ち着いた状態で、歩く児玉くんのあとを着いていったのだった。