「それなら良かった。俺見込みあるじゃん。俺もどきどきしてるよ。泉の反応がいちいち気になるから臆病にもなる」

「そうなの?そう見えないんだけど」


読み取りにくい表情を見ようと、顔をのぞき込む。



「ちょっ・・・ほんと、やめて」

言うやいなや触れていた手を離して、私の両肩をつかみながらゆっくり遠ざける。


「あ、赤くなった」


「それ、言うか?つーか、泉って何気に小悪魔だよな、自覚ないだろ」

だから、赤い顔でにらまれても全然こわくないですってば。


「小悪魔とかよくわかんないけど、かずくんの照れてる顔見るのは好きかもしんない」


「は?なんだよ、それ」


ああ。私はたぶん、こんな普通の会話を楽しめるこの空間が好きだなあ。
こんな居心地の良い場所を作ってくれる彼のことをもっと知りたいのかもしれない。