「ちがうよー。ファンでいたいだけ。だって、かっこよすぎて住む世界ちがうもん」

「たしかにねー。私たちの王子だもんねー」


もちろん、近くにいた真美にもばっちり彼女たちの会話は聞こえていて、

「なに、王子が出るライブなの?」

と、小声で私につぶやく。


「そうかも。私からして見たら、キラキラ星人なんだけどな」


なんだかすごーく胸がもやもやする。
かずくんのことじゃないかもしれない。

でも、かずくんに、好意をもっている人がいるんだとしたら。
ここにいる数十人全員がそうなんだとしたら。