人間の心の闇を渡る白露。
闇は闇同士繋がっている。
人間の世界に行く手っ取り早い方法は、人の心の闇に侵入することだった。
妖怪や化け物の類いは大方闇に潜み、そこを自由に行き来する。
鬼である白露も同じなのだ。
「む…。見えてきたか…」
闇しかなかった前方に微かな光。
その光の先が人間界のどこかに繋がっている。
人間界に行きたがる変わった獄卒の白露は、光の中を通り過ぎ、暗い森に姿を現した。
木々がつくる影。
そこから出てきた彼は、周囲を見回し誰もいないことを確認すると、人間の村を探すべく歩き始めた。



