一方、白良は白露と千尾丸がいなくなってどこか寂しさを感じていた。
母親が死んで父親が飲んだくれになって、一人で過ごす日が多くなっていた彼女。
正直、鬼とかそんなことは関係なく二人に会いたいと思った。
(もう、来てくれないのかな…?)
しかし、自分の言葉が気に障って出て行ったことは白露の行動からして明白だ。
(だとしたら、もう…)
「…会えない…」
ぽつりと呟いた時、戸を叩く音がした。
「白露さん…?千尾丸さん…?」
白良は小走りで玄関に行き、戸を開けた。
「宗二くん…?」
そこにいたのは宗二だった。
彼は挨拶もせず玄関の中に入ってくると、いきなり白良を床に押し倒した。
「え?宗二くん?何して…」
「椿がな、泣いてんだよ」
訳がわからず宗二を見上げる白良。
「椿の初めて奪ったお前の親父を、俺は殺してやりてー!!」
宗二の怒鳴り声が恐ろしい。
「でも無理だから、白良…お前を犯す」
「え…?」
驚き過ぎて声も出ない。
白良はこの現状が信じられなかった。