そう言い残し、村人達はやっと帰っていった。


「ああいった人間達を血祭りにあげるのが我は好きだ」

遠くから一部始終をのぞき見していた白露の感想。

「旦那~、それじゃ意味ないでしょう~?」

「それはそうだが、些かあの娘が不憫だな」

「おお~、冷酷と謳われる旦那が人間の娘に同情ですかい。明日は雨降りやすかね~」

白露は千尾丸の頭を拳でぐりぐりしながら少女の家を見つめた。

「いだだだ!!だ、旦那~、気になるなら行ってみやす~?」

「どこにだ?」

千尾丸は溜息をつき、白露の足に前足をぽんと置いた。

「馬鹿ですかい旦那。あの娘の家ですよ~。旦那が同情した」

「言ってみる価値はあるのか?」

「う~。…暇つぶしにはなりやす」

白露は少しの間、考えた。

そして彼が出した答え。


「人間どものくだらんいざこざは、見ていて飽きぬな…」


「…行くんですね。了解です」

千尾丸は白露の隣で人間の姿に化けた。

黒髪の少年の姿。

身なりは村人風だ。

「これで安心。行きましょう!」


こうして彼らは少女に関わることとなる。

人間界での七日間が始まった。