「俺が死ねば、俺の罪は消せる?」

もう、俺にはこれしかなかった。
死を持って償う。
昔の人なら当たり前の、暗黙の了解。

「な…」

もしかしたら、償うことよりも、俺は死ぬことでこの状況から逃げようとしたのではないか。


俺は走り出す。後ろから掛けられる二人の声は気にしない。
大丈夫、二人よりは速く走れるから。
商店街を抜けた先に踏切がある。そこがゴールだ。

「ごめん…ごめん…」

涙が溢れ、声が震える。
耐えろ。俺は走るだけでいい。後悔なら後にしろ。
自分に言い聞かせた。