今、ここでぶん殴ってやりたかった。
だけど、今俺がコイツを殴ったらどう考えても俺の八つ当たりだ。

「五年間も騙すなんて」

うん、よくわかってるよ。悪いのは俺。全部俺が悪い。
許してくれ、とは言わない。思わない。
けど、せめて前の関係に戻ってはくれないだろうか。傲慢だって思う。
我が儘だってわかってる。何をすればいい？
どうすれば救われる？


俺の脳裏に、１つの考えが過った。


「…俺が…」

渇いた声で小さく呟いた。聞こえなければいいと思った。

「…何よ？」

君は冷たく、哀れみを含んだ口調で聞き返す。