甘い誘惑~Sweet Refrain~

「あっ」

いた!

南方さんは窓際の席に座ってスマートフォンをいじっていた。

何だ、南方さんもあたしと同じことを思っていたのか。

そう思いながらあたしは南方さんが座っている席に歩み寄って、
「お待たせしました」

南方さんに声をかけた。

「ああ、どうも」

南方さんはスマートフォンから顔をあげると、あたしに会釈した。

「こんばんは、待ちましたか?」

そう言ったあたしに、
「いや、俺も今きたところだから」

南方さんはスーツのポケットにスマートフォンをしまった。

「じゃあ、行こうか」

南方さんはカバンを持つと、椅子から腰をあげた。