甘い誘惑~Sweet Refrain~

あたしの方のはずだけど、何故だか知らないが主導権はまじめ男のものになっている。

あまりの急展開に戸惑っているあたしに、
「そうだ、君の名前は?」

まじめ男が思い出したと言うように聞いてきた。

あ、そう言えば名前を聞いてない。

「源文乃です」

あたしは自分の名前を言った。

「俺は南方浩治(ミナカタコウジ)」

まじめ男――南方浩治が自分の名前を返した。

それから南方さんは自分の腕時計を見て、
「あっ、もうこんな時間!」

驚いた顔をした。