だいぶ時間がたった。
「鷹谷ってなにもでてこねぇ…」
呻く小枝君に、別にいいのに…何て呟きを漏らしたら
「いや、俺がつける!」
思いのほか張り切っていて、それも嬉しかったな。
また少しして、
「よし!これだ!しぇーるんしゃーるん!!」
『し…しぇあ…??』
「フランス語で"高い"はシャールなんだって。カッコイイだろ!しゃーるん様っぽい!!」
なんか疑問点がいっぱい残るけど…
…それでも、嬉しかった。
嬉々としてどこかのコードネームのような妙な名前を叫ぶ小枝君に感謝の気持ちでいっぱいだった。
「しゃーるん、ミステリアスだし、ぴったりだ。」
…ミステリアス??
そんなふうに思われてたんだ…。
確かにシャールンって、なんか冷たい…印象……だな。
「なっ!しゃーるんしぇ…あれ?
しぇーる…?なんだっけ??」
あははっ
しょうがないなぁ、なんてみんなで笑って、私は意識的にか無意識にか、予防線を、張る。
『でも、きっと明日には忘れてるよー』
そう茶化すように言って、小枝君が面倒くさくなったときに、余計な気を使わせないように。

