席が遠くなってから小枝君と話す機会はほとんど皆無だった。
あんまり少ないから、小枝君が話しかけてくれた事、全部覚えてるんじゃないかと思う。
1番嬉しかったのが、本を読んでいた私に話しかけてくれた事。
移動教室から戻ってきたばかりであまり人もいなかった。
早速本を読み始めると、不意に"何の本読んでるの?"と声が降ってきた。
"よくそんな分厚いの読めるね"
"でも戦争の話でゆっくりしか読めないんだ"
二言三言話して終わってしまったけど、用もないのに話しかけてくれたのが嬉しかった。
嬉しすぎて、話し終わってすぐ件の友達のところにすっ飛んでいったから、ちょっとバレたかな、と焦った。

