1月。
休み明け初日。
小枝君、もう忘れてるかなぁなんて思う私のほうがしっかり覚えてる。
あっという間に帰りのSHRが終わって、小枝君覚えてなかったんだ、と勝手に傷心。
自分でもわからないけど何故か今から話しかけられるのが嫌で、急いで昇降口に向かった。
靴箱で部活の友達と靴を履き替えていると、小枝君に声をかけられた。
「しゃーるん、お年玉お年玉!!」
両手で器を作って足踏みする彼は、ひとり走ってきたようで、不本意ながら、嬉しかった。
自分なりの照れ隠しだったのだろう、
目を逸らしてはあっと苦笑。
あとでどんだけ照れててもそれはないだろ、と全力で後悔すること必至。
横でほんとにあげるの!?と驚く友達に約束しちゃったから、と弁解しつつ財布を探る。
彼女には小枝君が優しいよーぅと泣きついたことがあるので苦笑された。イヤな汗。
百円玉がなかったのでこれで好きなの買っといで、と五百円玉をぽとんと手に落とす。
なんかお婆ちゃんのお使いみたい、と自分で思って自分で撃沈。
昇降口を出ると小枝君が走り寄ってきてお釣りを渡された。
「しやーるん、ありがとう!!」
はいはいと笑って校舎に戻っていく小枝君を見送る私は、我に帰って将来貢ぐ女になるんじゃないかと頭を抱えた。
たぶん小枝君が戻っていった教室には我がクラスの上流階級の男女数名が待ってるんだろう。
そう思い当たったのもあいまって、とても明るい気分では帰れなかった。

