海辺の元で

かなりの疲れ気味だった私。
それを気遣ってか、純平は
「ちょっと待ってて。｣

と、コンビニに私を置いて、チャリで迎えに来た。

「ほら、乗って！｣

「うん！ありがとう。｣

素直にお礼を言う。
こういうときは素直な私。疲れていて余裕がないのもあるけど、本当に嬉しいのもある。

私は、純平のお腹に捕まり、寄り添う。

「よしっ！行くぞ〜！ぼやぼやしてると、飛ばされるからな〜！｣

そう行って走り出す。

海沿いを走る自転車。
こうやって、小さい時、何度か純平と自転車に乗せてもらったなぁ〜

そんな事を思いながら、走る。

「昔、良く乗せたよなぁ〜
雪乃のこと。｣

「うん。なんか、懐かしい！｣

「雪乃、重くなったなぁ！｣


「はっ？！うるさい〜！｣

そう言って、純平のお腹をつついた。

「痛ってぇ〜！力も倍になっただろぉ？｣

「うん！あったり前！純平をいつでも殴れるようにね〜！！｣

「なんだそれ。｣

こうやって私達は、いつも笑う。

「俺さぁ、雪乃の家、理想だなぁ〜！｣

「うち？！｣

「うん。雪乃父さん、めちゃくちゃすげぇ人だし。｣

「そ〜お？！
純平のおじさまも私素敵だと思うなぁ〜！
お父さん、良く、おじさまは恩人だって言ってるよ！うちの店出す時もなにかとお世話になったみたいだし。｣

「そりゃあ、親父さんみたいな人を俺の親父が信頼しないわけねぇ〜よ。
それくらい、夢に溢れた人なんだよ。｣

私も、自分で、うちは幸せだと思っていた。
普通、反抗期があったりするのに、私にはなかった。
幼い時から、母と力を合わせて、この店の実現を目指す父を見て、カッコイイと思った。

やっとの思いで、この店を出せて、うちは家族三人、とても幸せになった。
忙しく慌ただしいけど。

疲れて帰ってきても、
今日も混んだぞぉ〜！
って笑顔で帰ってくる。
私も、いつか、こんな幸せな家庭を作りたい！
そう、思った。