海辺の元で

「あ〜、また、この時が来たかぁ〜」

純平は目を細め、ベットに横たわる。

「なに?寂しいの?」

私は、純平の荷物を積めた。

「あぁ。また、来年…」

「違うでしょ。来年は、立派な弁護士になって、お客さんとして食べに来てよね」

「だから、ちょっと寂しいんだ。もう、こうして連日手伝うこともないんだなぁ〜って。俺にとっては、毎年、夏のイベントだったから。親父さん家に世話になって、合宿っていうか…心が鍛えられるっていうか…この家に来ると、癒されるんだよ。おばさんもあったかいし。海辺のレストランで働いてると、気持ち良いんだ…なんて言うか、うまく…うまく言えないけど。」

「うち、居心地良いんだ〜!」

「誰かさんが、も〜っと可愛かったらなぁ〜」
純平は、白々しく私を見た。

「なによ。」

「なぁ〜んでも??」

「ま、司法試験落ちても、来年は働かせないからね!みんなとの約束だから!」
「わかってるよ」

「はい、荷物全部入れたよ!!」