切なげな表情の凪くんを見ていたら、
すごく不安になってしまい、
どうしても気持ちを伝えたくなって、
思わず言ってしまった。
凪くんは優しく目を細めて、私の頬を撫でた。
やっと笑ってくれた。
「凪くんの笑った顔が好き」
凪くんには、笑っていてほしい。
前髪の少しかかった大きな瞳を、かわいく細めて、
大きな白い前歯を見せてニコって笑う凪くんの笑顔が、
私は大好きで......
私の言葉に、凪くんは一瞬表情を曇らせ、頬から手を離し、
パッと目をそらした。
「凪くん?」
凪くんは下を向いたままぎゅっと目を閉じて、首をぶんぶんと振った。
どうしたんだろう......
なんか言ったらいけない言葉だったのかな.......
また少し不安になると、
凪くんは顔を上げて、
ごまかすように、ははっと笑ってまたクリスマスツリーを見上げた。
「あれ、凪?」
突然凪くんを呼ぶ声がして、びっくりして声の方を向くと、
潤平さんが、彼女らしき人と手を繋いで、
こっちに向かって歩いてくるのが見えた。



