「秘密」優しい帰り道【完】




信号を待っている間、凪くんはやっぱり何か考えている様子だった。







信号が青になり、ゆっくりと歩き出して、ショッピングモールの敷地内に入った。



建物がクリスマスのイルミネーションで飾られていて、


中庭のようなところまで歩いて行くと、


大きなクリスマスツリーが白く輝いていた。



「綺麗......」




上を見上げて、マフラーから顔が出ると、白い息が言葉と共にふわっとあふれた。



反対口にはあまり来たことがなかったから、


このショッピングモールにこんなに綺麗なクリスマスツリーがあるなんて知らなかった。




ゆっくりと目線を下げると、クリスマスツリーのある中庭には、

恋人たちがたくさんクリスマスツリーを見上げていて、

私たちもその中のひと組なんだって思ったら、


なんだか少し、大人になった気分になった。


私たちも恋人同士に見えるかな......



ちらっと凪くんを見上げると、凪くんもクリスマスツリーを見上げていて、


マフラーから出た凪くんの顔は、やっぱりどこか切なげに見えた。





やっぱり何かあったのかな......



凪くんのポケットの中で、繋いだ手をぎゅっと握ると、


凪くんがこっちを向いた。




「私……凪くんが好き」