どうしてこんなところに……
隣の女の人は誰……
まさか、彼女……?
でも、受験が終わったら付き合おうって言ってくれるって……
この前だってキスしてくれたし……
でも......
私はまだ彼女じゃない……
「どうしたの?」
立ち止まった私を心配して、お母さんが戻ってきた。
「ううん、なんでもない。行こ」
凪くんから目をそらし歩き出そうとしたら、
「あれ?凪じゃねえか?おい、くるみ!凪がいるぞ!おーい!凪ー!」
お父さんが大きな声を出して、凪くんに向かって歩き出した。
「お父さん、やめてよ」
お父さんの袖を引っ張って止めようとしたんだけど、
お父さんはお構いなしに、ずかずかと凪くんの元に行ってしまった。
私は近づくことができなかった。
だって、女の人と一緒にいるし。
すごく可愛い人だし........
「凪って.....あの子がいつも一緒に帰っている子?」
お母さんは凪くんを見つめながら聞いてきた。
「うん」
「声かけなくていいの?」
「うん」
そう頷いた時、凪くんがこっちを向いたから、
私はすぐに目をそらした。
「くるみ!おいくるみ!こっちこいって」
もう、ほんとお父さんやめてほしい......
「くるみ、行こう。
お母さんも一緒に行くから。隣りにいる女の子も気になるし」
お母さんは私の背中にそっと手を回して、一緒に凪くんの元に歩いた。