家に帰ると、縁側でそのままお父さんが寝ていた。



【くるみの成長が生きがいなんだって

だから長生きするんだって】



ぶーぶーといういびきと共に、大きなお腹が上下している。


私は庭から縁側に近づき、タオルケットの上からお腹を叩いた。



「お父さん、おとうさん」



「んあぁぁ......???」

お父さんがゆっくりと目を開けた。



「風邪ひくよ、夕飯にするけど、お父さんは?食べるの?」


お父さんは、少し驚いた表情をしながら、ゆっくりと起き上って、


縁側に腰掛けた。



「あぁ.......いや、じゃあ食べるかな」


へらへらと笑いながら、薄い頭を触った。



「今、用意するから」


私は玄関の方へと歩き出した。



「くるみ」


歩いてすぐにお父さんに呼ばれて、振り返った。




「ありがと......な」



お父さんはタオルケットを掴んで、笑いながら小さく頭を下げた。


「長生きしてよね」



私がボソッというと、お父さんはハッとした顔をして、


それから顔をくしゃくしゃにしてタオルケットを持って立ち上がった。



「鼻水が出んな.......ちきしょー」


そう言って、タオルケットで顔を拭きながら、


居間の隣の自分の部屋に入って襖を閉めてしまった。