凪くんは、まっすぐ私を見つめていた。



頬に感じる、凪くんの手の温もり。



「デート......してください」



凪くんを見つめながらそう言うと、凪くんは吹き出して笑って、

頬から手を離した。



「ちゃんと勉強するんだぞ」



凪くんは笑いながら、バッグを肩にかけなおした。



「ちゃんと、勉強してます」



ぷくっと頬をふくらませると、あはははっと凪くんが私の顔を見て笑った。



「そっか。ごめんごめん。


じゃあ、気晴らしに映画でも見に行きますか」



映画......


凪くんと映画なんて、嬉しすぎる!


嬉しくて楽しみで、にやにやしてしまったら、

むぎゅっと優しく頬つねられた。



「わかりやすっ」




ははっと笑って、凪くんが頬から手を離した。



つねられた頬に手を当てて、顔を熱くしていると、

凪くんがスマホを取り出した。




「メアドとか教えて」



「あ.....私、携帯持ってなくて.....」


「そっか」




凪くんはまたスマホをしまって、

肩にかけたバッグからノートとペンを取り出し、その場でノートに書き出して、

びりっとその部分を破いて私に差し出してきた。



「一応教えとく。なんかあったら電話して」