4月


入学式を終えた次の日



朝、真新しい制服を来て、

いつものように土手を歩いた。



土手沿いの桜の木はピンクに染まり、


土手から川へ続く、緑と黄色の菜の花は揺れ、


川の水面には、青空が映っている。



「いい天気だな......」




空を見上げ、雲一つない快晴に目を細めた。



目線を下ろして、土手の先を見ると、



遠くから凪くんがこっちに向かってゆっくり歩いてくるのが見えた。




凪くん?





休み時間と帰りは一緒にって、約束していたけど、


朝は何も言ってなかったのに........






私は凪くんに向かって走り出した。



凪くんは私が走り出しても、歩くのをやめなかった。



走って走って、





凪くんに抱きついた。




「くるみのダッシュすげぇな、あはははっ」




抱きついたまま凪くんの顔を見上げると、凪くんはかわいく笑っていた。




「朝は会えないのかなって思ってたのに......どうしたの?」




嬉しくてニヤニヤしながらそう言うと、


凪くんが吹き出して笑った。





「校門のとこで待ってたんだけど、



待ちきれなくてさ。ははっ」




凪くんは私の肩をそっと押して、



私の全身を上から下までじっくりと見始めた。




そして、私のネクタイを整えて、



下ろした髪を撫でた。



「よく似合ってんじゃん」